種別: 古本
タイトル: 女人日日
著者: 濱谷 朝
出版社: 文化出版局
発行年: 昭和60年
説明:
昨年夏、泰山木の花の咲く頃文化出版局の方が拙宅に来られ女房に一冊の本を書くようにすすめてくださった。女房は幾たびか新聞雑誌に頼まれて文章を書いた経験はあるけれど、書物の自信はないらしかった。 相談を受けた私は、書きたいものがあるなら書いてみるのも貴重な体験だから、と本人のやる気にまかせた。ただ身体だけは気をつけるよう申し入れた。なにしろ女房はやるとなったら徹底する人間だから、そのことだけを注意した。
女房は茶湯者の家の出生で、五十五年茶の湯に親しみ、心の支えとしてきた。四年前出版された井上靖先生の『本覚坊遺文』を再読三読して、自分なりの老いの覚悟をした気配がある。これも書くことの動機ではなかったか。女房は家事をきちりと進めないと気のすまぬ人だから、執筆は夜の九時十時しゃにむに頃からになる。今年に入ってから遮二無二筆を進めている様子だった。次々と書き残しておきたいことが構想されてくるようだった。
どうやら予定枚数を書きあげたところで病の床に臥した。 入院して、 まだまだ書きたいことがあると話していた。この本のことも気遣っていた。手術の前日、私の予告にも動じることがなかった。最後まで「茶の心」を語っていた。
(本書の濱谷浩さんの「あとがきのあとがき」より)
コンディション:B
カバー擦れ。最後の見返しに古本値段シール剥がし跡あり。
コンディションについて
A: 新刊並みにきれい。
B: カバーの折れや擦れがある。ページの焼けはない。
C: カバーの折れや擦れが目立つ。ページの縁周りに焼けがある。しみや汚れがある。
D: カバーの折れ、擦れが目立つ。ページ全体が焼けている。しみや汚れが目立つ。
E: カバーの折れ、擦れ、汚れ、破れが目立つ。ページ全体の焼けが強い。しみや汚れが著しい。