
種別: 古本
タイトル: 和飲物語
著者: 松本 延昌
出版社: キッコーマン醤油
発行年: 昭和49年
説明:
日本のワイン史上に残されたナゾは多い。とくに高僧行基の大善寺建立から、フランシスコ・ザビエルのチンタ酒登場まで約八百年間は、満足な史実ひとつ発見されず、厚いベールに包まれている。
ワインの製法は、清酒などにくらべると簡単で、ブドウをつぶし放っておくとでき上がる。ブドウあるところ必らずワインあり”である。そして日本のブドウは千三百年近くの歴史をもっている。
「八百年もの間、日本人がワインなしに過ごしたとは思えない」―私の取材はこの疑問から出発し、いくつかの手がかりを得た。しかし、どれもこれも信ぴょう性にとぼしく、史実とはいえなかった。いきおい物語の話も、その期間中だけは、満足なものにならなかった。
でも、ワインの存在を裏付ける材料はある。たとえば、行基の建立した寺院だ。全国に四十九ヵ所あるが、ほとんど薬園”を付属施設に持っている。その薬園でつくられたブドウは薬用酒として醸造された形跡を残している。
一方、長野県の善光寺ではむかし「鐘の音の届く場所でしかブドウはできない」と教えていた。これなど、美酒ワインが拡散するのをおそれての措置とも思えてくる。うがった見方をすれば、坊さんが好んだといわれるあの“般若湯”、これだって当初は、ワインだったのナゾといえば、割に資料の多い戦国・江戸時代にも残っている。おそらくこの時代、ワインの普及をさまたげたのは、幕府をカゲで操った米問屋、キリスト教が広がるのをおそれた宗教関係者、権益擁護をはかる清酒業者などだろう。
(本書の「あとがき」より)
コンディション:C
箱入り。箱縁傷み、擦れ、汚れ。本体擦れ。ページ焼け。小口汚れ。最後の見返しに古本値段シール剥がし跡あり。
コンディションについて
A: 新刊並みにきれい。
B: カバーの折れや擦れがある。ページの焼けはない。
C: カバーの折れや擦れが目立つ。ページの縁周りに焼けがある。しみや汚れがある。
D: カバーの折れ、擦れが目立つ。ページ全体が焼けている。しみや汚れが目立つ。
E: カバーの折れ、擦れ、汚れ、破れが目立つ。ページ全体の焼けが強い。しみや汚れが著しい。