
種別: 古本
タイトル: 味見手帖
著者: 小島政二郎
出版社: KKロングセラーズ
発行年: 昭和52年
説明:
今校正を終ったところ。
読み返して見て、何を感じたか。私の時代には、どこにも名人上手がいて、面白い藝を聞かせてくれ、安くってうまい物を食べさせてくれた。
東京ばかりでなく、大阪へ行っても、京都へ行っても、神戸行っても、地方へ行っても、韓国へ行っても、中国へ行っても、どこへ行っても、自己を持った職人さんがいて、誰の云うことも聞かず自分の味を持っていて、客を喜ばすことに専念していた。
例外なしに、そういう職人自身が主人で、みんな主人持ちではなかった。彼等自身買い出しに行って、自分の気に入った物を買って来て、個性のある料理をこしらえて客を喜ばせてくれ
た。将棋の木村十四世名人も云っているように、ちょいとした屋台に首を突っ込んで見ても、安くってうまかった。
この本を読み返して見て、そういう職人さんがいなくなったことを私は寂しく思わずにいられない。と同時に、現代向きの名人上手が大勢出ているのだろうと思う。悲しいかな、私などは、そういう新らしい店を知らないだけだろう。
でも、安くってうまい店を心行くまで食べ歩いた仕合せを思い出している。そういう昔の味活字の上で味うことを好まれる方もいるのではないかと思って、この本をこしらえて見た。そういう方と巡り合いたいと思う。そういうチャンスがこの本に恵まれますように―
昭和五十二年四月二十日
(本書の「あとがき」より)
コンディション:C
カバー擦れ、汚れ、焼け。背焼け。小口&天焼け強い。ページ焼け強い。最後の見返しに古本値段シール剥がし跡あり。
コンディションについて
A: 新刊並みにきれい。
B: カバーの折れや擦れがある。ページの焼けはない。
C: カバーの折れや擦れが目立つ。ページの縁周りに焼けがある。しみや汚れがある。
D: カバーの折れ、擦れが目立つ。ページ全体が焼けている。しみや汚れが目立つ。
E: カバーの折れ、擦れ、汚れ、破れが目立つ。ページ全体の焼けが強い。しみや汚れが著しい。