





種別: 古本
タイトル:
The Works of Paul Rand
著者: Landscape Products Co.,td/編
出版社: Printed Matter
発行年: 2002年
説明:
リング綴じ。
ここ何年かのあいだ、20世紀を代表するようなインダストリアルデザイナーやグラフィック・デザイナーを再評価
することが、世界的なムーブメントになっている。 過去に作り出されたいいデザインを、現在と切り離さずに捉えられる
シーンが生まれたことのプラス面は大きい。そして、それを触媒に新しくデザインされたものが、いつのまにか現在の
メインストリームになっていたりもする。
そういう中で、 ポール・ランド(1914-1996) ほど、 今のデザインのいたるところで潜在的な影響を与え続けてい
あるデザイナーは少ない。プロのデザイナーから子供までを幅広く魅了する彼のテイストは、 綿密な理論に裏付けられ
ていながらも一見かわいくてスマート、さらにアートのような存在感もある。 彼が装丁した書籍やIBMのグッズを中心
に、PLAY MOUNTAINが2001年秋に開催したポール・ランド展A Designer's Art も,幅広い客層を集めていた。
そういえば、ポール・ランドのデザインは、よくアート的だと評される。それは、彼が直感や即興でデザインを行っ
たという意味ではない。彼にとっては、デザインとアートは同じように視覚に訴えるものであって、分け隔てて考えるよ
うな対象ではなかったらしい。 若かった彼を夢中にさせたバウハウスはまさにアートとデザインの統合を主張していた
し、パウル・クレーやイサム・ノグチなど多くのアーティストとの交流もその姿勢を物語っている。
特に20世紀前半頃にヨーロッパ各地で起こった前衛アートやデザインのムーブメント(バウハウス、ダダ デス
テイル, 構成主義, 未来派, シュールレアリズム・・・)は、ポール・ランドを語るうえで欠かすことができない。 それは、例
えば、ポール・ランドの初期の作風にストレートに表れている。 1940年代の「アパレルアーツ」誌の表紙デザインや
「エスクァイア」誌のアートディレクションでは、コラージュなどの手法が頻繁に使われた。
1950~60年代に手掛けた小説などの単行本のカバーで、彼はさらにその作風を発展させて手書きの文
字、タイポグラフィ、コラージュ、カットアップを組み合わせるようになった。いずれもウィットに富んでおり、当時のニュー
ヨークらしい知的さと洗練がある。この頃から1970年にかけて発表された4作の絵本 (文はアン・ランド前夫人によ
でも、デザイナーとしての彼のセンスがあらゆるところで発揮された。
1950年代後半以降には、ポール・ランドの活動はグラフィックデザインよりもスケールの大きいCIデザインの比
重を増している。 イームズ夫妻とのコラボレーションで進められたIBMのCIデザインが特に有名で、 彼は現在も使わ
れているIBMのロゴをはじめ数々のデザインを手掛けた。一連のIBMのための作品は、ポール・ランドの代表作とし
て取り上げられることが少なくない。 ポール・ランド自身の著作で読むことのできる, ヴィジュアルを言語のように操って
イメージを伝えるという彼のベースにあった考え方は、この時期にいっそう完成度を高めた。 それは、20世紀後半の
デザインがコンピュータとともに大きく発達していく中でも存在感を持ち続ける, ポール・ランドの友人でもあった亀倉
雄策をはじめ、その影響を受けた日本のグラフィックデザイナーも多い。 現在も、生活の中で目にするありふれたデ
ザインの端々に、ポール・ランドの魂が宿っているものを見つけることができるはず それが普通のことになっていると
ころに、ランドの偉大さがあると言っていいと思う。
2002年から見るポール・ランド
土田貴宏
(本書の説明文)
コンディション:B
表紙擦れ。
コンディションについて
A: 新刊並みにきれい。
B: カバーの折れや擦れがある。ページの焼けはない。
C: カバーの折れや擦れが目立つ。ページの縁周りに焼けがある。しみや汚れがある。
D: カバーの折れ、擦れが目立つ。ページ全体が焼けている。しみや汚れが目立つ。
E: カバーの折れ、擦れ、汚れ、破れが目立つ。ページ全体の焼けが強い。しみや汚れが著しい。